pH測定器とは、水や土壌の酸性・アルカリ性を判断する測定器のことです。小中学校時代にリトマス試験紙の色の変化で簡易的にpH(ペーハー)を図った経験をお持ちの方も多いと思われます。pHの値は0~14で7であれば丁度中性です。数値が大きくなるほどアルカリ性に、数値が小さくなるほど酸性であるという意味になります。
pH測定器の原理は、一般に化学の知識がないと理解が難しいと言われていますが、原理はそれほど難しくありません。普通の水溶液のpHは、温度などの外部環境の変化によって簡単に変わってしまうものなのですが、中には非常にpHの変化しにくい水溶液があります。たとえば、0.05mol/Lフタル酸塩水溶液などです。この水溶液を基準としてこれと比較して、どのぐらい大きいか小さいかを測定することで、対象となる水溶液や土壌のpHを割り出すという原理になっています。
酸性に偏った水は、すっぱい味がします。また色々な金属と反応して水素を放出します。
一方アルカリ性に偏った水は、ぬるぬるした舌触りになります。また炭酸をよく吸収することでも知られています。
pHの求め方は、水の中でのH+(水素イオン)濃度を対数(LOG)で計算したものになりますので、pHが1ずれるだけで水素イオン濃度が10倍変わってきます。pHが2ずれたら100倍違いますので、0~14だからといって、10なんて数字がでたら非常に大きな数値だと警戒しなければなりません。
PHを式で表しますとpH=-Log10[H+]となります。
2種類の水溶液の間には、多少なりとも起電力の差があらわれます。(電池の原理です。)電位のその差の大きさを測定すると、基準(pH7)からのpH乖離度が精度良く求められるということになります。30℃の水温の場合なら、約60mVの起電力(電位差)が生じることが知られています。
pH測定器の原理も、長さが勝手に変わらない定規を用意して、それをあてて長さを測るのといっしょ、同じ原理ですね。
pH測定といいますと、リトマス試験紙を思い出してしまいますが一回使いますと使い切りになってしまいますので、水槽向けのpH測定器で現在主流なのは、デジタルPH測定器になります。pH測定器の原理で述べましたように、電位の差が測れれば良いので、電池式やACアダプターによる充電式のデジタルPH測定器が多く出回っています。
原理で説明しましたように、ガラス電極内に基準となる水溶液を入れたガラス電極タイプのpH測定器になります。
デジタルPH測定器の価格帯はおよそ1万円~2万円前後になります。
水槽に適したpH測定器としては、例えば、「水質測定器 PHモニター P-1」など、これなどは1万円程度で、水槽に常時設置、測定は瞬時で液晶モニターで見ることが出来ますので、水槽用のpH測定器としてはとても良い製品だと思います。測定可能温度も0℃~50℃とのことですので、利用上不都合はないでしょう。また2万円ぐらいになりますと、PHの分解能が0.01PHというプロでもまったく問題ない高分解能のpH測定器が手に入ります。
水道水は日本全国だいたいpH7前後と、日本の水道水は熱帯魚の水槽に対応できていますが、長く熱帯魚を飼っていますと、pHが大きくアルカリ性に偏りがちであるといわれています。これは、水槽の中にサンゴの砂、炭、木化石、一部の貝殻などpHを上げる要素が入りやすいからです。pHが8以上であれば、通常の10倍、アルカリ性に偏っているということですので、pH対策をされると良いでしょう。
まず、pH降下剤はあまりお奨めできません。効果が長続きしなかったりコケの原因となったりする為です。(燐酸系のものなど)。底砂をアマゾニアなどソイル系に変えるとpHを下げるのに効果的です。お試しあれ~。
土壌のpH測定をしたい場合は、土壌専用のpH測定器の利用をお奨めします。なぜなら通常のガラス電極式は電極部が壊れやすいからです。
例えば、大田商事さんの「土壌PH計 OT2101」は、土壌だけでなくコンクリートのPH測定も可能とのこと、コーン式の電極を直接対象物に刺して計測ができるという優れものです。またシロ産業さんの「土壌pH測定器/品番 MF2-I99121」は、電極部分に温度測定器つきですばやく温度補正も行ってくれる優れものです。
土壌向けPH測定器のお値段は流石に、水槽用のPH測定器より高くなって、5万円以上となりますが、土壌向けPH測定器は各社ともレンタルも行ってくれていますので、相談してみるとよいでしょう。